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ICUになぜいるの?痛みは続き、眠れぬ夜

こんにちは!前回は卵巣嚢腫の手術までの事を書きましたが、今回は術後の体験を紹介したいと思います。
長くなってしまいますがお付き合いくださると嬉しいです。
前回の記事はこちらです。
子宮内膜症、卵巣嚢腫…だけでは終わらなかった謎の病。1年原因が分からず痛みに苦しんだ日々。~1~
痛み止めの点滴が効いてきたものの、結構な痛みがありました。お腹を切ったのだから当然なのですが。
でも後から考えるとこの痛みは
『1年原因が分からず痛みに苦しむ』始まりだったのです。
そして痛みの強さを10段階で表すイラストボードを指さし、痛みを看護師さんに伝えました。『8』を指さしたのを覚えてます。
何時間経っても痛みが半分以下に感じることはなく、(特に腫瘍を切除した右側の卵巣付近が)熱も38度5分ぐらいが続きました。
隣のベッドからはお爺さんのうめき声が。術後なのに一睡もできず
どのくらい時間が経ったのか…。昼なのか夜なのか、何時なのかも分からなく、なぜ病室ではなくICUにいるのかも全く分からない状態で不安な中、隣にいるらしいお爺さんが苦しそうにうなっていました。
うう…怖いよ~…。隣の人大丈夫なのかな。お爺さんのうめき声で不眠症の私は全く眠れず。お爺さんの声は術後の私には恐怖でした(^^;)
看護師さんがしょっちゅうバタバタとお爺さんの所に集まるし、痛みは続くし眠れないし…。不安で暗闇の奥底にいる感じで、休まるどころか常に緊張状態が続いていました。…仕方ないですね。お爺さんも苦しんで辛そうでした…。
他の方の手術体験談を読んだ事がありますが、ほとんどの方は術後疲れてぐっすり眠れた、というのを目にしていました。なのに私は真逆!疲れてるはずなのに痛みとうめき声と自分の緊張状態のせいでビタイチ睡魔が来ない。看護師さんに何時なのか尋ねると夜中だという…。手術をしたのは午前10時頃。
頼むから眠って私…。眠っちゃえばどんなに楽だろう…。涙も出てきました。
今思えば看護師さんに眠れないと伝えればよかったのに、遠慮してしまいました。呼び出しボタンを押すのがなんとなく抵抗があって…(ビビりで小心者なので(◞‸◟))
…今の私ならエンリョなくボタン押せます。(^^;)
痛みも半分以下にはならないし、眠れないのが辛いと強く思ったのはこの時が初めてです。いっその事カナヅチでアタマをカーン!と一発、気絶させてくれないかなぁ…。なんて思ったり。
一人の方が眠れると思いせっかく個室を予約したのになぁ…。なぜここにいるんだろう。
【のちに分かる事ですが、ICUに運ばれたのは血圧が急激に低下した事が理由でした。】
朝になると身体が攣り始める!
結局そのまま朝を迎えてしまいました。うとうとすらしませんでした…。こんな大きい手術は初めてだし、眠れないものなのかな、とは思っていましたが、まさか一睡も出来ないなんて。
そういえば夜中に歯磨きしました。起き上がるのも辛かったのですが、口の中を清潔にするためだと。菌があると良くないのですね。
~医師や看護師さん達が集まってきて賑やかに…~
お爺さんはどうやら病室に移動した様子。ICUには私一人…。
寝てないせいなのか術後だからなのか頭が重かったです。痛みは10段階のうちの3ぐらいになりましたが熱は下がりませんでした。
そして体の異変に気付きました。体が突っ張る感じがする。
ん?体が攣る!!背中から足先までピーンと突っ張たり、緩んだりの繰り返しが起き始めました。

さすがにおかしい…!
と思った私は呼び出しボタンを押しました。
しかし原因が分からず…
術後だから?寝不足だから?色々探りましたが原因が分からず。
麻酔科の先生がもしかしたら麻酔の影響かと。もう少し様子を見て…って、そうしている間にもまた攣る!!汗が異常な程に出まくり上がっていく心拍数…。
卵巣嚢腫の手術ってこんなにひどいの!?なんの処置も出来ずベッドの上で一人、恐怖と戦っていました。
(のちに自分が原因だったことが判明します…。)
娘ちゃんがICUに入ってきちゃった!
体が攣ってしまう症状と戦っているとき、何やら騒がしい…?
「ママ!ママ!」
聞き覚えのある声…。
そう、我が娘の声でした。
ICUに入ってはいけない事を知らなかった我が母と娘。看護師さんが慌てて止める…。ああ!ごめんなさい!そそっかしいのは私の家系なのです…。(本当に申し訳ありませんでした)
でもほんの一瞬だけ看護師さんが対面させてくれました。
母が医療機器に囲まれびっくりしちゃったね。小さな手が私の指をぎゅっと握りました。「がんばれママ!」そう一言。そして看護師さん達に連れ戻される娘。

どんなに嬉しかったか…。娘の顔が見られなかった事が本当に辛かったですが一気に吹っ飛びました!(こんなかわいい時もあったんだなぁ…)
大目に見てくれた医療スタッフ様、ありがとうございます。そしてすみませんでした。
体が攣ってしまった原因が分かった!私がビビりだったせい!!
私ずっとここにいるのだろうか。体が攣って苦しい…。もう治らないんじゃ…。麻酔ってこんなに切れないものなの?
ごちゃごちゃそんな事を考えていてふと思いました。
…体勢が悪くない?
ずっと同じ姿勢でした。一度たりとも寝返りをうつなど、体を動かしていない事に気付いたのです。術後、何度か看護師の方が背中にクッションを入れて下さり体を傾けたりしていましたが(癒着防止の為)上を向いてまっすぐピーンと寝たまんま…。
「体を動かしてた方がいいよ。お腹癒着しちゃうから」って先生や看護師さんが言ってた…。
【癒着とは手術の炎症で皮膚や膜、腸などがくっついてしまう事です。癒着してしまうと痛みが出たり、最悪くっついた所を引き剥がす手術をしたりします。】
なぜ体を動かすことをしなかったか
ずっと同じ態勢のままいた私。棒の様に上を向いたまま…。なぜ…?それは。
体を動かすことが怖かった
からでした。
お腹を切る手術は初めての私。動いたら痛いんじゃないか、傷が開いちゃうんじゃないか…などといらぬ心配を思いっきりしていたからです。
本当におバカ…。体も訴えていたのでしょうね。いい加減体動かせ!!と。同じ態勢のままだったので体が攣ってしまったのです。
もしかしてと思った私は思い切って体を横にしてみました。
すると!

『体の力が抜けるように楽になっていく…!』
見る見るうちに強張っていた体が嘘のように楽になっていきました。体が攣る事もなく緊張も解けていきました…。
何だったの!?ホント私って…おばか!情けなくなりました…。
術後は体を出来るだけ動かした方が良い
こんな私のような方はいないと思いますが、ベッドの上でも体は動かしていた方がいいです。体が強張り、攣ってしまいますので…。
そんなわけで一瞬で解決しました。ああ…恥ずかしい…!
そして術後、2日と半日経ってようやく病室へ
「病室に戻れますよ」
この言葉がどんなに救われたか…。しかし横になりっぱなしの私。加えて寝不足で体力が足りない…。
車椅子に乗るのも一苦労で肩からハアハア息をしていました。疲労感が半端なく、車いすから崩れ落ちそうでした。急いで車椅子を押してくれる看護師さん。
病室のベッドの上に戻れた時は本当に嬉しかったです。
熱と痛みは続いていました。
結構な高熱(38度7分)が続いていましたが不思議と辛くありませんでした。食事もわずかですが取れるように。少しでも癒着を防ごうと点滴を支えにして自販機までお水を買いに行ったり…。しんどかったですが。
父が腰の手術を何度かしているのですが「昔は術後安静にしていたんだよ」と言っていました。今は術後すぐ歩いたりするのですよね。私の場合ICUに入っていたので安静でしたが。
退院…。そして1年続く痛みと戦う日々。
一時は血圧の急激の変化によりICUに入ったり、体が攣ったりと色々大変でしたが予定通りの日数で退院出来ました。
ですが、腫瘍のあった右卵巣の痛みが治まることはなく不安なままでした。そのまま様子を見る事に。
右卵巣の痛みの原因が分からず、良からぬことが起きていたのに気付くのは1年後の事でした。医師も分からなかった事でした。
そして2度目の手術をすることになります…。
今回はこの辺で!またこの続きを紹介出来たらと思います。
主治医が「あなたと同じような症状の方がいたら助けにるので学会で発表していいですか」と。
もう何年も前の事で、今は病名も付いているかも知れませんが、体験談としてちょっとでも助けになりますように…。